2013年8月19日、驚くべきニュースが飛び込んできました。
東京大学大学院工学研究科が発表した、「完全な量子テレポーテーションの成功」です。
テレポーテーションはご存じの通り、「瞬間移動」を表すものです。
現在いる場所から、遠くに離れた場所に一瞬にして移動するというアレです。
テレポーテーションはSFの世界のものと誰もが思っていたに違いありません。
しかし、量子技術の世界ではこれが現実のものとして成功したというお話です。
量子テレポーテーションは、※光子に量子ビットの信号を載せ、送信機Aから離れた場所にある受信機Bに移動させるというものです。
※光子とは、光は「波動」と「粒子」の二重性を持つ特殊な「現象物」です。
粒子は明らかな「物質」ですが、「波動」は物理の世界では、空間を伝達して伝わる振動や振幅、波長といった「現象」の事を指します。
電磁波は波動性と粒子性の両方を同時に有しており(粒子と波動の二重性)、現代科学ではこれが立証されています。
量子テレポーテーション=量子通信の実現によって、これまでとは格段に違う大容量通信の実用化が期待されており、今後の動向が注目されるところです。
●1997年のインスブルック大学(オーストラリア)が開発した光量子ビットの量子テレポーテーション
実は量子テレポーテーションの技術は、1997年にオーストラリアのインスブルック大学において成功報告がなされていました。
ところが、低効率な上、一定の条件が伴わないとテレポートしないという不完全なものだった事が判明します。
今回、東京大学大学院工学研究科が発表した量子テレポーテーションの技術は「完全」なものであり、改めて日本の科学分野における水準の高さを証明する明るいニュースであったことは確かです。
こういったニュースは、現在、物理や量子などの研究に携わる研究者・学生にとって、大きな励みとなる事は間違いありません。